昭和47年2月、コースターはマイナーチェンジを受けています。型式名もRU18からRU19に変更。しかしこのマイナーチェンジ、外観は同じようでも中身はかなりの変更個所があります。マイナーチェンジの狙いは本格的な高速時代を迎えるに当って、安全性の向上とエンジンのパワーアップです。では、シャーシとエンジンに分けてそれぞれ具体的に見てみましょう。
RU19コースター デラックス車のカラーリング
シャーシでは、まずホイールベースが15o長くなっています。一方で車体長は従来のRU18と変りません。これは直進時の安定性の向上を狙った変更なのでしょうか?そして、1速ノンシンクロだったトランスミッションがフルシンクロに変更。シフト感覚が向上しています。フレームにクロスメンバーを一本追加。フレームの剛性も上がっています。
そして一番の変更箇所はブースター付タンデムマスターシリンダーとなったブレーキです。RU18まではブレーキのマスターシリンダーとブレーキブースターが別々に分かれていました。シャーシ中央のフレームにとってつけたように装備されていたため、冷気や水気でブレーキの利きが変化してしまったようです。RU19ではブレーキブースターをマスターシリンダーと一緒にし、室内に配置しました。これによりブレーキは温度などの変化に左右されないものとなったのです。タンデムと言っているのですから、ブレーキが2系統になったのはいうまでもありません。
エンジンは型式名上は同じ5R型ですが、圧縮比を若干上げることによって最大出力で5馬力、最大トルクで1s性能が向上しています。しかし、重量が増えているので、最高速度は110qとそのままになっています。これらの変更によってカタログに謳われている《楽し〜い》コースターになっています。
さて、いままでクーラーのことばかりお話してきましたが、ヒーターについても少し触れておきましょう。今まで紹介してきた各車のクーラー装備車には標準でヒーターも装備されていたのですが、エンジンの冷却水を利用したヒーターの他になんと燃焼式のヒーターを装備した車両もあるのです。空冷2気等エンジンとこの燃焼式ヒーターは切ってもきれない間柄なのでしょうか。この燃焼式ヒーターはガソリン車は言うに及ばず、ディーゼルエンジン装備のライトバス、コースターにも装備が可能だったようです。UP30やUP100ミニエースのバン、コーチにも燃焼式ヒーターが装備されている車がありますが、いずれも少数のもののようで筆者は一台も見たことがありません。基本的な構造は我らがパブリカ、スポーツ800に装備されている燃焼式ヒーターと変りません。